表面処理 / 微細凹凸による表面機能化
マイクロディンプル処理
マイクロディンプル処理とは、金属表面にμmオーダーの微小なくぼみ(ディンプル)を多数形成する表面処理です。微粒子の投射などで表面に微細な凹凸をつくり、付着防止・滑り性向上・摩擦低減を図ります。食品・医薬品の製造設備や摺動部品に用いられます。
仕組みと効果
"なぜ効くか"表面に微小なくぼみが分散して形成されると、相手材や内容物と接する面積が小さくなります。粘りのある食品や粉体が表面に貼り付きにくくなるのはこのためです。
摺動部品では、くぼみが潤滑油を保持する油だまりとして働き、油膜切れを抑えて摩擦と摩耗を低減します。
微粒子の投射でくぼみを形成する場合は、表面に圧縮残留応力も付与されるため、疲労強度の向上も同時に得られます(WPC処理と同じ原理)。
塗料や薬剤を使わない物理的な処理のため、皮膜の剥離や成分の溶出を考える必要がない点が、コーティングとの違いです。
主な効果
- 付着防止(食品・粉体・粘性物の貼り付きを減らす)
- 滑り性・流動性の向上
- 清掃性の向上
- 摩擦・摩耗の低減(油だまり効果)
- 抗菌効果の報告:掲載企業の公表では、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)によるJIS規格試験で抗菌活性値3以上を確認
用語の定義
- マイクロディンプル処理登録商標
- 金属表面にμmオーダーの微小なくぼみを多数形成し、付着防止・滑り性向上・摩擦低減を図る表面処理。
- ディンプル
- 表面に形成された小さなくぼみ。ゴルフボールの表面のくぼみと同じ語。
- PFAS
- 有機フッ素化合物の総称。フッ素樹脂コーティングの一部に使われ、各国で規制が進んでいる。マイクロディンプル処理は表面形状を変える処理で、フッ素樹脂を使わない。
主な用途
"どこに使うか"| 分野 | 適用例 |
|---|---|
| 食品製造 | 春巻・餃子の製造ライン、製麺・製パンなどの成形・搬送部品 |
| 粉体・包装 | 粉体の精製設備、充填包装機の接触部品 |
| 医薬品・化粧品 | 製造設備の内容物に触れる部品 |
| 機械部品 | 潤滑油を保持させたい摺動部品 |
加工条件の目安
"どんな条件か"一般的な目安です。実際の条件は、部品・材質・要求仕様に応じて受託企業が決めます。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| くぼみの大きさ | μmオーダー |
| 対象材料 | ステンレスなどの金属 |
| 寸法変化 | ごくわずか |
| 使用する薬剤 | なし(物理的な処理) |
| 複合処理 | DLCなどのコーティングとの組み合わせ |
よくある質問
"バイヤーの問いに直答"食品に触れる部品に使えますか?
塗料や薬剤を使わない物理的な処理のため、食品製造設備向けに提案されています。実際の使用可否は、用途と適用される規制に応じて受託企業と確認してください。
フッ素樹脂(PTFE)コーティングとの違いは何ですか?
フッ素樹脂コーティングは表面に樹脂の膜を付けます。マイクロディンプル処理は表面の形状を変える処理で、膜を付けないため剥離の心配がなく、フッ素樹脂を使わない選択肢になります。
WPC処理とはどう関係しますか?
どちらも微粒子を投射して表面を改質する技術を基にしています。WPC処理は疲労強度や摺動性の向上が主な目的で、マイクロディンプル処理は付着防止や滑り性の向上を主な目的として表面のくぼみを設計します。
日本でマイクロディンプル処理を依頼できる会社はどこですか?
FactoryMatchの掲載企業では、株式会社不二WPC、株式会社サーフテクノロジーがマイクロディンプル処理に対応しています(各社の公開情報による)。最小ロットや海外対応は対応企業の比較表で確認できます。
対応企業
"どこに頼めるか"掲載企業の公開情報をもとにした一覧です。
| 企業 | 所在地 | 該当する技術 | 最小ロット | 海外対応 |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社不二WPC | 神奈川県相模原市 | マイクロディンプル処理® | 1個から | 英語問い合わせ可、2005年 米国ロサンゼルスに子会社 WPC Treatment Co., Inc を設立 |
| 株式会社サーフテクノロジー | 神奈川県相模原市 | マイクロディンプル処理®(MD処理®) | — | 英語問い合わせ可 |